nekop's blog

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本当にTCOが低いのはどちらだ

JBoss Advent Calendar 2012の20日目のエントリです。

クリスマス寒波でとても寒い今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか。Advent Calendar中にOracleさんから本当にTCOが低いのはどちらか!? WebLogic Server vs. JBoss Enterprise Application Platformという心温まるハートフルな記事がTwitterに流れてたのが引っかかったので、普段であればこういうほぼFUDで構成されているマーケ記事というか釣り記事は技術的にまったく面白いものではないので無視するんですが、今回は特別にちょっと反応するというネタにしてみます。ネタとは言ってもぼくは一応技術者のはしくれなので、技術に真摯に書きます。

さて、要約すると以下の3点で記事は構成されてます。記事中のJBoss EAP側の記述について正しくないものがいくつかありますが面倒なので今回はそういう細かい部分はツッコミません。

  1. WebLogicにはOracle Javaのサポートが含まれているので良い
  2. WebLigicには運用管理機能が豊富
  3. 長期運用するとWebLogicのほうが安い

最初のセクションを見ると、なぜかJBoss EAPOracle Javaを使ってコミュニティサポートの終了を気にしたり商用サポートを受けてコスト増という残念な前提の記事になっているようです。Red Hat Enterprise LinuxにはOpenJDKがサポート対象として含まれていますし、ほとんどのお客様はRHELを利用しているのでJavaのサポートはそちらでカバーされていて特別な追加コストは発生していません。この点を抜いて書いているのはフェアではないですね。ついでに、JBoss EAP 5はJava 7に対応したパッチがだいぶ前にリリースされていて既に入手できるという点も一応書いておきます。

2つめの点は、標準で用意されている運用管理機能の豊富さについてはWebLogicのほうが上だと思いますし、魅力的ですね。JBoss EAPでは機能として用意されていない部分については代替となる方法や手順のナレッジを提供していたりしますし、オープンソースですので運用管理機能も含め足りない機能は自由に追加できるという拡張性があります。ぼくはJRubyでコンテナ内部いじくりまわすのが好きです。

3つめのはJBoss EAPWebLogic Standardを価格で比較していますが、WebLogic Standardはクラスタなどの機能が使えない機能制限版です。JBoss EAPと比較するのであれば、WebLogic Enterpriseを比較しないとダメなのですが、それをやってしまうともちろん結果が違ったことになってしまいます。困りましたね。

最初「本当に○○が低いのはどちらか!?」という不謹慎ネタに走ろうかと思ってたんですが、面白すぎるのでやめました。

Oracleのみなさま、メリークリスマス、良いお年を。