テクニカルサポートというお仕事
tstalk Vol.1というテクニカルサポートのトークイベントに行ってきていろいろお話したり聞いたり考える機会になったので書き出しておくよ。いろいろなテクニカルサポートな人が集まっておもしろかった。ソフトウェア製品サポート、ハードウェア製品やそのファームのサポート、非サポート(興味がある、昔やっていた、サポートを利用するお客様の立場だけど、というような方々)、その他、みたいなごちゃまぜ編成。
ランダム箇条書きな感じで。
テクニカルサポートは楽しい
- テクニカルサポートはケーキバイキングみたいなお仕事
- 基本的に扱う内容はエンジニアであるお客様がつまずいた「技術的に難しいところだけ」おいしいとこどり食べ放題
- 「サポート」を「エンジニアリング」する、多くの改善余地のある創造的な作業が多め
- 例えばプログラマ関連だと、WebとDBとの橋渡しをするだけのコード書きや(デザインなどの創造的な作業ではない)単調なレイアウト修正などの作業はない
- お客様と目的のベクトルがスタートラインから100%一致
- 「特定の問題を解決する」というゴールが最初から共有されている仲間同士
- お客様の期待にこたえたい
- 解決するとすごい喜ばれる
- いっぱい「ありがとうございました」がもらえるというモチベーション
- 難しい問題をトラブルシュートできたときの爽快感
- ビールがうまい
- スキルがぐんぐん上がる
いろいろ残念なパターンも
- 技術レベルのギャップ
- サポートに問い合わせしてくる技術担当者の技術レベルが低すぎる場合
- サポートに問い合わせしてくるお客様が子会社の実際のシステムの技術担当者じゃなく、親会社で人員管理中心の技術素人だったりして話が通じない
- Man in the middle問題
- 実際のシステム担当者 <-> 問い合わせしているお客様 <-> サポート担当者 という構造で間にはさまってる人のせいで速度低下やコミュニケーションロスや諸々いらない問題の発生
- コミュニケーションスキルのギャップ
- 日本語がうまく通じないお客様
- 勝手にあさっての方向へ飛んでいくお客様
- サポートを提供する中でサポート担当者に人的ミスがあった場合に善後策を求めてくるお客様の議論
- 聞き間違い、言い間違い、書き間違い、理解の間違い、勘違い、その他もろもろ
- リーズナブルな善後策はほぼ無いと言える
- 人員倍増して全てをダブルチェックしろ、とかたまに無理なことを言い出すお客様が居るのでうまくかわす
- 善後策がどうこう、ってしている間リソースが食われて結局問題の解決が長引いてお客様もまったく得しないパターンが多い
- 上司っぽい人や営業などにそれっぽいメールなどを書いてもらって早めに収束させる
- なぜか最初から敵意むきだし、非協力的、高圧的、興奮している、というようなお客様
- サポートとしては迅速に問題を解決したいだけなのに
- 回答の文面とかのアラ探しして難癖をつけたりすることに集中してくる、根拠なく疑ってかかってくる
- 対策のひとつとして(本当は教えたい参考情報がいっぱいあるのだけど)なるべくお客様に提供する情報を絞る、安易に仮説や可能性の話をするのは厳禁
- 淡々と確定した事実のみをベースに着実に進める
- 意図的に回答まで時間を置いて、少し場を落ち着かせる
- 他の対策として(やはり解決速度は遅くなりがちになるけど)サポート担当者を変えてみる
- 不条理なお客様
- 学習しない
- 同じことを何度も聞いてくる(質問担当者が違う場合もある)
- 何度もサポートの利用経験があり、何が必要なのかわかっているはずなのにログや設定ファイルを送ってくれず単純に「動きませんでした」
- 日本人のフィードバック傾向
- サポートで滞りなく問題が解決した場合、まったく問題のない場合に星5つ、星4つのフィードバックが欲しいのだけど、良い場合にはそもそもフィードバックをしてくれない
- ちょっとでも悪い点があると星1つのフィードバックを送ってきてくれる
- 「良いことに対するフィードバックをしない」文化をどうすればよいか
- サポートWebシステムの各コメントに「いいね」ボタンを設置するのはどうか
サポート側が残念なパターン
- 技術力がない
- コミュニケーション力がない
- 日本語通じない
- 役に立たないテンプレ回答
- たらいまわし
- やたら待たせる
- つかもとさんの「しばらくお待ちください」の発表
- 「できません」「サポート外です」という回答で代案や次のアクションの提案なし
- 技術的正論を振りかざすだけでお客様の立場や状況に理解がない
Red Hatどうよ
オープンソースであること
- オープンソースは教育
- ソースがない場合と比べ物にならないほど利用者のエンジニアリングスキルを最大化する
- 「もっと知りたい」を阻害することは人類の進化の阻害
- お客様がパッチを送ってくることがある
- オープンソースであることのメリットを最大化するパターン
- 素晴らしいお客様なのでサポートの回答でも参考情報とかできるだけ多めにインプットする
- お客様にソースコードのURLを渡して「このメソッドのこのif文がバグです」と言える
- 一方クローズドソースのサポートはサポート担当もソース見れなかったりするので五里霧中の空中戦が多め
- クローズドソースのサポートは(特定製品のドキュメントの読み方、とかソースが無いという制限の中どう立ち回るか、みたいな変なスキルを除き)あまりエンジニアリングスキルが向上しなくてかわいそう
- クローズドソースのサポートはブラックボックステストのスキルは向上するのでテストエンジニアへ転向というパスは現実的
- オープンソース製品は「これ以上はうちでは調べることができません」という言い訳不可
- ナチュラルに全Webがナレッジベース
- ぐぐれば同じ問題の報告とか解決策とかいっぱい
- オープンソースのサポートビジネスって儲かる?
まだいっぱいトピックあったはずなので思い出したら追記します。
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